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# ウクライナ便り その24
こんにちは、T です。2週間の帰国を終え、先日無事に日本に帰ってきました。

さて、先週も触れたポロシェンコ氏ですが、彼が正式にウクライナ大統領になったことが先日発表されました。彼は十数年前からウクライナの政治に携わってきました。が、皆さんは彼の「第二の顔」をご存知でしょうか。彼が「チョコレート王」と呼ばれる訳は、ウクライナでおそらく一番大きなお菓子・チョコレートメーカーのオーナーでもあるからです。(政治家はビジネスを持つことが禁じられているので、正確にはポロシェンコ氏がおそらくオーナーにはなっていませんが、私は、このメーカーとポロシェンコ氏との関係性を疑わないウクライナ人に今まで会ったことがありません。)

ちなみに、そのメーカーの名前はROSHEN(http://www.roshen.com/)で、新大統領の名字Poroshenkoの真ん中の文字を使っているのではないかと言われています。私が小学生のころにキエフの郊外にあるチョコレート工場に社会見学で行った記憶があります(当時はカール・マルクス記念工場でしたが、のちほど「ROSHEN」と改名されました)。とりあえず、どこに行ってもチョコレートの香りがして少し酔ってしまったことと、試食したチョコレートが出来立てで柔らかすぎたので、手や服が汚れてしまって辛い思いをしたことしか覚えていません。

ポロシェンコ氏がEUとの関係強化を求めるデモ参加者への支援を表明したのとだいたい同じタイミングで、ロシアのROSHEN工場に何かしらの問題が見つかり、たしかチョコレートが生産中止になったような気がします。チョコレートには罪がありませんし、ROSHENのチョコレートは本当においしいので、損をしたのは一般のロシア人だと思いますが・・・

国づくりとチョコレート製造の過程はどれほど似ているのか私にはちょっと分りませんが、後者において成功したと言えるポロシェンコ氏にウクライナの国民の大きな期待を裏切らないようにしっかりと頑張ってほしいと思います。

そして、ROSHENのチョコレートの値段が高くならないことを祈りつつ、彼のこれからの政策の舵取りを見極めたいです。

続き▽
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# ウクライナ便り その23
こんにちは、Tです。ウクライナ便りの続きです。

先週の日曜日に行われた大統領選挙の結果、「チョコレート王」と呼ばれるポロシェンコ氏の当選がほぼ確実となっています。新しい大統領の就任で国内の状況が一刻も早く落ち着くのを心より願っています。(ちなみに、私が票を入れたのはポロシェンコ氏ではありません。)

先週のブログではキエフ周辺の雨雲に感謝の気持ちを表したつもりですが、その後二回ほど昼間の突然の雨にやられたのです。特に二回目の雨がひどくて、家から徒歩10分ぐらいのところにある地下鉄の駅から出た瞬間に降りはじめ、やっと家にたどり着いた時に完全にびしょ濡れの状態でした。途中で前に進めないほどの強い風も吹いていました。その日は「どうせ雨なんか降らないだろう!」という軽い気持ちで出かけ、傘はもちろん持っていませんでした。

前置きが長くなりましたが、今日もプーシキン記念公園の話をしたいと思います。実は先週の写真のピアノは色んな場面において色んな人に使われていました。例えば、今朝は20代のおにいさんが一生懸命何かを弾いていました。数日前に孫連れのおばあさん(だと思われる人)が孫に向けて大きな黒い楽器について熱心に説明していました。また、小学生くらいの女の子が真剣な顔で音質を確かめるシーンも目撃しました。

ピアノのすぐ近くに先日変わった形の建造物が設置されました。
私の母親曰く、それは「インタラクティブな頭」で、中に入ると音が鳴り小さなライトの点滅も始まります。インターネットで調べて見ますと、プーシキンのポエムの主人公の頭をイメージしたものだそうです。確かに違う角度から見ますと、頭に見えなくもありませんね。今年はプーシキン生誕215年に当たる年で、記念イベントの一環で設置されたそうです。また、その頭の周辺は、近いうちにプーシキンの作品に基づいておとぎ話の国に変わる計画も進められています。

続き▽
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# ウクライナ便り その22
みなさん、こんにちは。ロシア語担当の T です。
先週の日曜日から急遽、2週間だけまたウクライナに帰ることとなりました。今週および来週はウクライナ便りの続きをお届けしたいと思います。

さて、2ヶ月ぶりのウクライナは・・・なんだかかなり過ごしやすい環境になっていました。毎日の気温が20度前後で湿度も10%くらいで、イチゴの季節も始まったようです。(一キロでだいたい300円くらいです。)多くの果物や野菜もわりと買い求めやすくなりました。

こんなウクライナですが、いくつか気になった傾向がありましたので、紹介したいと思います。一つ目は、ペプシ・コーラの浸透率が高まっていることです。たまたま私が住んでいるキエフの地域のキオスクでは、ペプシ・コーラの在庫過多になっているだけかもしれませんが、なぜかコカ・コーラよりよく目にする状態が続いています。そのコカ・コーラですが、ウクライナの市場において長年トップシェアを誇っていました。それが最近ペプシ・コーラの存在感が濃くなったことで状況は少し変わりつつあり、ペプシ派の私にとって歓迎すべき進展になっています。いずれにせよ、選択肢が増えることは決して悪いことではないと思います。

二つ目は、雨が人間の都合を配慮してか、決まって夜中にのみ、しかも まとまって大変強く降っているという傾向です。例えて言えば、台風の時のような強い雨ということになるでしょう。雷も稲光も強風(瞬間的に暴風にもなります)もしっかりと揃っていて、夜外出を控えたくなる降り方になっています。だいたい毎晩21時過ぎに降り始め、朝7時に起きるともう止んでいて、地面だけが濡れています。キエフ周辺の雨雲のそのような配慮深さに心より感謝いたします。

今日もおまけの写真を一枚用意しました。以前にもこのブログで触れた、リスたちの生息地になっているプーシキン記念公園に子供用のプレイグラウンドが新しく設置されたのですが、その横になぜか一台のピアノが置いてありました。
上にテントも張ってあって、雨対策も万全です。ピアノのふたを開けて中を覗いてみると、ちゃんと鍵があって本物っぽかったのです。野外コンサートでもやるのかなぁ・・・それとも子供向けの演奏?

残りの滞在時間も、公園内のピアノおよびそれに携わる人たちの考察を続けたいと思います。

続き▽
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# ウクライナ便り その21
皆さん、こんにちは。ロシア語担当のTです。関東地方では昨日春一番が吹いたみたいですが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

今日京都で吹いていた風は、春一番だったかどうかは私には正確には分りませんが、倒れている自転車の数からしますとその風がかなり強かったの確かです。ちなみに、私はこの季節恒例の花粉症(のようなもの)に悩まされています。ウクライナでは一回もアレルギーになったことのない身にとっては、なかなか新鮮でありながらつらい経験でもあります。

さて、先週のブログの最後のほうにキエフの公園内のリスについて触れましたが、彼らは行動パターンなるものは実は極めて簡単です。冬の寒い季節に限っての話ですが、私が想像するにはリスの命題はできるだけたくさん餌を集めて無事に冬の乗り越えることです。キエフの中心部から少し離れたところにあるプシキン記念公園のリスも、同じ命題で頭をかかえています。

ただ、野生のリスと違って彼らは日々人間という(リスからすれば)正体がよく分からない生き物に囲まれて生活をしているわけです。実はそのような共存からリスたちにとって思わぬメリットが生まれてきたのです:人間が彼ら彼女らに対して偉大な興味を抱いて、様々な種類の餌(主にベリー類とナッツ類)を与えようとしています。リスからすればわざわざ人間から何かをもらわなくても公園の中で充分餌がありそうですが、それでも「与えられるものは礼儀正しくいただくべし」という原理に基づいて彼らが人々の手からクルミなどを取ったりしています。

言い換えれば、プシキン記念公園内のリスの行動パターンは、いかに人間から与えられるおやつを効率的にもらい、自分たちの生活のためにそれを貯めておくのかというふうに単純化されています。今年は暖冬で雪もほとんど降らなかったし、リスにとってはどちらかというと過ごしやすい季節でした。

おなじくプシキン公園内では、二つのクルミを手でぶつけあいながらリスの名前を叫ぶ大人や子供を見かけることがあります。キエフならではの光景で、関西に住んでいる私にとって大変興味深いシーンでもありました。

私も、クルミこそ家においてきましたが、リスと交流しようと近づいてみましたが、すばやく逃げられたのです。ウクライナにあまり住んでいない者だと判断されたのかもしれません。写真は少しぶれていますが、立派なしっぽの持ち主のリスさんでした。

続き▽
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# ウクライナ便り その20
みなさん、こんにちは。T です。先日無事に日本に戻ってきましたが、今日もまたウクライナ便りを届けたいと思います。

「戻ってきました」と書きましたが、実は毎回ウクライナに帰国することや日本に戻ってくることを友達に話す時、どのような表現を使えば良いか少し悩むことがあります。私は7年近く日本に住んでいて、おそらくこれからもしばらくの間日本に住むことになると思います。しかし、私の母国はウクライナなので、これからも定期的にウクライナに帰ることがあると思います。「帰国」とは本来自分の生まれた国に帰ることを言う言葉だと思いますが、そうしますと私の場合ウクライナに帰る時に「帰国」しているのは確かです。

しかしながら、ある特定の国に7年近く住むと、その国に対してもある種の愛着を持ってむしろそこに戻る時は「帰国」すると考える人がいてもおかしくないとも思います。私の場合・・・難しいですが、今のところウクライナには「帰国」し日本には「戻って・帰ってくる」と言っています。あと7年経ったら、それも変わるかもしれません。

さて、今日の二つ目の話題は、飛行機の中の地図です。私は学校では地理が苦手な科目の一つでしたが、地図を見るのはわりと好きで飛行機に乗るたびに(ほかにあまりやることがないので)前の席の画面に移るフライトルートを眺めることを時間のつぶし方の有効的な方法として認識しています。そして、今回日本に「帰ってくる」時 飛行機が日本に近づくにつれて、日本の詳細な地図が表示されていました。

まず気になったのは、インターネットやテレビ画面で見る時と方向が違うことです。飛行機が韓国を超えて日本に近づくと、右側にHiroshima、そして左側に画面の下から順番にOsaka、Kofu、Maebashiが見えてきました。さらに、日本全体の地図に切り替わると、以下のような都市・地域の名前が表示されました(下から順番に):Saga、Fukuoka、Nara、Otsu、Nagoya、Kofu, Maebashi, TOKYO, Sendai, Sapporo.

都市の選択基準が気になるのは、私だけでしょうか。YokohamaやKyotoのような、わりと大きな都市がなかったのは、何かしらの深い理由があるかもしれませんが、それにしても地図を作成する人もそれなりにいろいろと苦労しているなぁと感じたフライトでした。

次回は、キエフの公園内におけるリスの行動パターンについて書きたいと思います。

続き▽
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# ウクライナ便り その19
ロシア語担当の T です、こんにちは。

ここ数日、キエフではすごく深い霧が続いています。どれくらい深いかと言いますと、家の中から10メートルほど離れた建物が全然見えなくなるほど深いです。あるいは、25階建ての建物の上の半分が山の上の城のように隠れて見えるほど深いです。こんな神秘的なキエフの街中はあまり見たことがありません。

そして、霧の中で車の運転をしているウクライナ人の勇気や運転技術の高さも評価すべきだと思いました。私も一応免許を持ってはいますが、5メートル先も見えない中、運転手さんはいったい何を頼りに運転しているのか、ちょっと想像がつきません。こんな時にこそ「勘」と書くべきでしょうけど、そうでしたら運転手たちはすごい勘の持ち主であるはずです。

もう一つ、霧と関連して思ったのは、国によって霧の発生の仕方にそれなりの特徴があるのではないかということです。例えば、(正確なことは分かりませんが)ウクライナなら3月の第一の火曜日の昼過ぎから、湿度がある程度の数値を超えた時、主に都市部を霧が覆う傾向があるだとか・・・あるいは日本の場合、晴れた春の日の夕方に田んぼとその周辺に集中的に霧ができる傾向があるだとか・・・この段落に書いたことをあまり天気予報士に見てもらいたくありませんが、「霧を通じて見る文化間の差異」なるものもいつか出来上がるかもしれません。

霧の話から離れて、少しだけ政治の話をしましょう。ウクライナ国内の様子がやっと落ち着いたかと思ったら、今度は仲が良かったはずの隣国ロシアの軍(だと思われる兵隊)がクリミア半島でいろいろ活動をしているニュースが飛び込んできました。詳しいことは日本でも報道されているのでここでは触れませんが、ウクライナ人として一点だけ、ややおかしなところを指摘しましょう。「ロシア軍の介入が検討されている(あるいは実施されている)のは、ロシアに逃走中元大統領の“依頼”によるものだ」とプーチン氏が昨日説明していましたが、それって少し論理性を欠く主張だと思いませんか。「元」大統領というのは、実際に政治力がない者で、彼の「依頼」に耳を傾けるのは21世紀の政治のやり方ではないとは思いますが・・・ウクライナ国内のことに関しては、ウクライナ人にのみ決断を委ねてもらいたいところです。


さて、今日も、最後におまけの写真を掲載したいと思います。コンパクトサイズのレーズン入りのライ麦パンです。一見普通のパンに見えますが、実のところその名は「詐欺師」です。この罪がないはずのパンのいったいどこが詐欺師っぽいのか、誰かに教えてもらいたいところです。あぁ、今一瞬、何か企んでいるように見えてきました・・・

続き▽
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# ウクライナ便り その18
皆さん、こんにちは。T です。
ウクライナでは雪が降らない冬が続いていますが、皆さんはいかがお過ごしでしょうか。

さて、今年のウクライナ便り第二弾です。実は先週のブログに文字数オーバーで載せなかったのですが、最後は以下のような文を書いていました。

「  さて、最後はもう少しウクライナの話をしましょう。日本でも報道されているとおり、首都キエフの中心部はデモ隊と警察の機動隊の衝突でとても大変なことになっています。もともとすべてが始まったのは、現ヤヌコビッチ大統領がEU(ヨーロッパ連合)との協定を拒否した時ですが、その後何の根拠もない警察による暴力に多くの市民が怒りを覚え、もっと自由な国に生きるために街に出ました。そして、解決策が見えないまま、デモや衝突がすでに三ヶ月間にわたって続いています。
  しかしながら、一旦キエフの中心部を離れますと、街は本当に普通の生活リズムの中で生きています。まるで二つのキエフがあるかのような状況ですが、私がまだ足を踏み入れていない、現在とても熱くなっているもう一つのキエフの状況が、できるだけ早く収束し、死者や負傷者がこれ以上出ないことを心より祈っているばかりです。」

あれから一週間が経ち、衝突などがやっと収まりましたが、100人に近い死者を出すこと以外に他の解決策がなかったのでしょうか。与党や野党の政治家たちに問いたいところです。また、一つ確実に言えることは、ウクライナはいろんな意味で今までと違う国になったということです。

政治の話をここまでにして、私が帰国して悩まされていることを一つだけあげましょう。それは「静電気」です。以前にもこのブログでふれたかもしれませんが、ウクライナでは湿度がかなり低いせいか、外から家に帰って蛇口の水を開けると、静電気にやられることがたびたびあります。手を洗わないわけにはいかないのでなんとか我慢はしていますが、それにしても水で静電気とは・・・祖国にはまだまだ多くの発見がありそうです。

そして、せっかくですので、最後は写真を一枚載せたいと思います。ウクライナで「ケーキ」と言いますと、まず連想されるのはおそらくこの写真にあるようなサイズのものです。(「写真を撮らねば!」と思いついた時、すでに半分しか残っていませんでした。)100グラムで335キロカロリーで、チョコレートより低カロリーであるところも魅力的ですね。皆さんももしウクライナや東ヨーロッパの国に行くことがあれば、ぜひ食べてみてください。

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# ウクライナ便り その17
こんにちは、ロシア語担当の T です。

9ヶ月ぶりにウクライナに一時帰国しています。2月のこの時期は毎年のように大変寒い日が続いていますが、今年はそうでもなく、むしろ今の関西地方の天気に比べれば格段に暖かい日が続いています。雪も降っていませんし、道もスケートリンク化していませんし、ある意味では快適な環境の中での帰国となりました。

さて、ウクライナまで飛行機で行こうと思ったら、皆さんは何時間くらいかかると思いますか。直行便があればおそらく10時間程度で行けるでしょうが、私が最近よく使う T 航空では、大阪からキエフまで乗り換えを入れて17時間くらいです。日本からラテンアメリカの国まで行く時と比べると少し速い気もしますが、それでも17時間とは・・・母親に「(住むならば)なんでヨーロッパのようなもっと近い国にしなかったの?」とよく言われています。

その T 航空ですが、機内のパンフレットにやや気になるところがあったので、紹介したいと思います。東京への便を紹介するコラージュで、東京の夜景をバックにアメリカの某バスケットボールチームのスター選手がかっこよく写っています。東京のどこの街なのかちょっと特定できませんが、交差点を渡っていく人々などの雰囲気がわりとリアルに再現されています。ただし、少しだけ「えぇ?!」と思うところがありました。それは、ビルの看板です。色も鮮やかですし、そこに写っているモデルさんや風景は一見いかに「日本らしく」見えますが、よくよく見るとそれらの看板たちの「文字」にいささか違和感を覚えざるを得ませんでした。

実はその二ページにわたるコラージュに、「靴」が三回、「衣類」が二回、「おもちゃ」や「旅」がそれぞれ一回ずつ使用されています。「〜靴と衣類の都 Tokyo 〜」というしゃれたスローガンが目に見えてきましたが、そのようなステレオタイプ的なイメージはいったいどこに由来しているのでしょうか。そのコラージュを作った人の話を伺ってみたいところです。

来週からは、何回かに分けてもう少しウクライナに焦点を当てた話をしたいと思います。

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# ウクライナ便り その16
 みなさん、こんにちは。ロシア語担当のTです。2週間前に続いて、今日はウクライナの寿司バーの話をしたいと思います。

 前回(2013年5月29日)の便りの最後のほうに、「黄海」という洒落た名前の和食屋さんに触れましたが、実はキエフ市内の寿司バーや日本料理屋さんの名前を見てみますと、ウクライナ人の想像力の豊かさに脱帽せざるをえません。例えば、ざっとあげてみて、「ユーラシア」、「盆栽」(正確に書きますと、ローマ字のBONSAIです)、「村神」(最初は,作家の春樹村上にちなんで考えられた名前だと思いましたが、キリル文字の横に並ぶ漢字を見てその場の雰囲気を独自に叙述する努力に感動しました)、「東京」(高級料亭のような感じ)、「アジア」、「マフィア」、「寿司の惑星」などなどです。
 これだけバラエティのある名前を見ますと、一般的なウクライナ人の寿司や和食の年間摂取量が、日本人のそれをはるかに越えているのではないかと思わなくもありません。さらに、「専門的な和食屋さん」というふうに位置づけられるところではなくても、寿司は日に日にお客様が気軽に日本文化に触れる媒体になりつつあることが確かです。

 というのは、キエフの中心部の喫茶店の多くにも、サイドメニューとして寿司が出てくることが日常と化してきているのです。それも、サーモンもしくはマグロの「インスピレーション巻き」とでも呼ぶべきものが主流です。今一瞬、「カプチーノやカフェラテと相性が抜群のマグロ巻きをぜひどうぞ!」という、(実際は存在しないが)そのような喫茶店のキャッチコピーが目に浮かんでさえきました。
 日本に在住する者として、キエフの喫茶店のメニューを考える人々に一回でも良いので来日してもらって本物の寿司もぜひとも食べてもらいたい気持ちでいっぱいです。彼らが受ける衝撃は、きっとこの上なく大きなものになるでしょう。

 最後に、おまけの写真を二つ掲載させていただきます。一つ目は、「マグロ逆さ巻き」と、メニューには「揚げ物」として載っていた巻き類です。中身は、サーモンとクリームチーズです。
 「揚げ物」のメニューのページの写真です。
 どちらもなかなか美味でした。日本の食文化が、以上のような形で世界に旅立っているのを見ると、なんだか温かい気分になります。皆さんも外国に足を運ばれる際は、その国のsushiを食べてみてはいかがでしょうか?きっと新しい発見がたくさんあると思います。

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# ウクライナ便り その15
 みなさん、こんにちは。ロシア語担当の T です。今日もウクライナ便りをお届けしたいと思います。題して、「ウクライナ風アレンジ和食」です。

 実はGWに一時帰国をしていた時、キエフの街中の“すしバー”の数々が気になって、その一ヶ所に入ってみたのです。そして、そこで食したのは、日本料理の「寿司」ではなく、むしろ独自の道を一人歩きする「ウクライナ風アレンジ」のsushiでした。特徴として、以下のことがあげられます:

 巻き寿司が非常に多いです。日本で食べていた寿司はどんな形をしていたのかを忘れてしまいそうなほど、多いです。


 ちなみに英語では、かっこよく「signature maki」となっています。

 また、日本ではあまり見たことのない斬新な巻き方、「キュウリ軍艦」とでも呼ぶべきものがありまして、感銘を受けました。
 さらに、私が訪れた店では日本と違って、豆腐が「メインコース」になっているのはとても印象的でした。日本でも豆腐がもっと主役を任されても良いような気がしてきました。

 他にもメニューには日本ではなかなか見かけたことのない品がいくつかありましたが、店内はその割にはだいぶ落ち着いた「和風」の雰囲気でした。壁に「春」「夏」「秋」「冬」と書いてあったり、大きな鑑賞用の水槽があったりして、少し洒落た感じがウクライナ風和食によく似合うと感じました。

 さきほどの写真にもちらっと出ましたが、ところどころにメニューの日本語が少し変なところがあって、残念でした。例えば、フレッシュ巻きが「生々しい」、メニューが「新鮮」になっているのは、意図的なことかもしれませんが、どちらかというと確認不足の気がしてなりません。
 しかしながら、それはウクライナの和食屋さん全体に関して言えることなのかもしれません。例えば、空港に向かう途中にある「黄海」というレストランは、なかなか日本を連想しにくいような気がします。けれど、お店として成り立っているのなら私から何も注文をつける権利はないと思います。

 と同時に、そのような名前のお店に入ってキュウリ軍艦なんかを食べるウクライナ人が抱く「和食」や「日本」全体のイメージとはどのようなものなのか、じっくりと炯眼する価値のある課題だなぁとも思いました。

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