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# 英国生活日記(34) バースへの小旅行
こんにちは、Yです。一か月以上前のことになりますが、英国南西部の観光地であるバース(Bath)に日帰り旅行をしてきました。バースは日本語で「お風呂」を意味しますが、その名の通り、かつて温泉の湧く場所として栄えた町です。今回は、その時に見て回った場所の一部をフォト日記の形でご紹介します。

バースと言えば、「ローマ風呂(Roman Baths)」

バース・スパ(Bath Spa)駅から北に10分ほど歩いていくと、市の商店街の只中に、この世界遺産の施設があります。ローマ風呂は、バースがローマの支配下にあった時代の遺跡で、1世紀から5世紀の間に栄えた施設。温泉の温度は46度で、今では入浴はできませんが、館内拝観の最後に温泉の水を試飲することができます。気になるその味はというと…味も匂いもほとんどないのですが、それが通ってきたスチール製の蛇口の金属の味がなんとなくしたような気がしました。

ちなみに、「せっかく温泉地に来たのだから温泉に入りたい!」という方には、ローマ風呂から徒歩数分のところにある、「テルマエ・バース・スパ(Thermae Bath Spa)」というスパ施設があります。但し、入浴・施設の利用料は32ポンド(約5810円)からと、安くはありませんが。

さて、ローマ風呂を跡にして、東に向かって歩いていくと、エイヴォン川(River Avon)の岸辺に辿り着きます。その川の上を横切っているのはプルトニー橋(Pulteney Bridge)。

プルトニー橋は、バースが富裕層の保養地として栄えた18世紀に建設されました。橋の内側は商店街になっていて、夏の観光シーズには通りが観光客で一杯になりそうでした。

プルトニー橋の商店街を過ぎてから、更に東へ真っ直ぐ進んでいったところで偶然見つけたのは、ホルボーン美術館(Holburne Museum)。

こちらは入場料無料の小さな美術館で、館内にはカフェとお手洗いもあり、寒い街中を歩いてきた私にとっては格好の休憩所となりました。

館内の展示品もなかなか興味深かったです。こちらはミニチュアの肖像画。

写真がなかった時代、旅をする時に家族や愛する人を思い出すために制作・携帯されたそうです。

その反対側の部屋には、18世紀当時の晩さん会の模様を伝える展示がありました。当時のメニューの記録を見てみると、「子牛の頭、茹でた鶏肉とタン…白鳥のロースト…」などが前菜として出されたとのこと。子牛の頭などは、現代のイギリス人が見たらぎょっとするようなメニューですが、こうした料理が今ではなぜ食されなくなったのかは、興味深いところです。

ロンドンのパディントン駅からバース・スパ駅までは、電車で1時間半。バース自体は小さな町で、徒歩で主な観光スポットを巡ることができますから、ロンドンからの日帰り旅行にもお勧めです。
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# 英国生活日記(33) 「パイ」いろいろ
こんにちは、Yです。過去2回のブログで、イギリスで人気のある家庭料理「コテージ・パイ」と「フィッシュ・パイ」の作り方をご紹介しました。その際、パイ生地を使わないのに、「パイ」と呼ばれていることを不思議に思った方もいるかもしれません。かくいう私もそうでした。「パイ」と言えばアップルパイやミルフィーユのように、バターがたっぷりのさくさくの生地を使ったものだと考えていたからです。しかし、そのような生地を全く使わないコテージ・パイやフィッシュ・パイも、イギリス人にとっては「パイ」の一種なのです(この点は英和辞典にも解説がありません)。さらに言えば、英国で出回っている「パイ生地」は、日本でお目にかかるものよりも遥かに多種多様です。

英語では、「パイ生地」をペイストリー(pastry)と呼びます。BBCの料理サイトでは、なんと7種類のペイストリーを使ったレシピが紹介されています。
・ホット・ウォーター・クラスト・ペイストリー(hot water crust pastry)
・ショートクラスト・ペイストリー(shortcrust pastry)
・パフ・ペイストリー(puff pastry)
・ラフ・パフ・ペイストリー(rough puff pastry)
・フレイキー・ペイストリー(flaky pastry)
・フィロ・ペイストリー(filo pastry)
・シュー・ペイストリー(choux pastry)

中でも最も英国的なのは、ホット・ウォーター・クラスト・ペイストリーです。これは14世紀に英国で生まれたもので、お湯にラードを溶かしながら作るので、このような名前がつけられました。生地は7つのペイストリーの中で最も固く、中の具と汁をしっかりと閉じ込め、崩れにくいので持ち運びもしやすいのが特徴です。ポーク・パイなど、主に肉を具材としたパイに使われます。パイには甘いもの(sweet pie)と塩気のあるもの(savoury pie)がありますが、塩気のあるパイだけに使われるのは、7つのペイストリーの中でこれだけです。

ショートクラスト・ペイストリーは、ホット・ウォーター・クラストよりも「ショート(サクサクとして崩れやすい、の意)」な生地です。イギリス南西部コーンウォール発祥のパスティー(pasty)と呼ばれる半月型の塩気のあるパイは、今では全国チェーンも展開されるほど人気がありますが、これにはショートクラスト・ペイストリーが使われています。ショートクラスト・ペイストリーよりも更に油脂分が多くて軽い食感なのは、パフ・ペイストリーとその類似品です。

パフ・ペイストリーは、日本人にもお馴染みのクロワッサンなどに使われる、バターを折り込んだ非常に軽い食感の生地です。こちらはイギリス人の大好きなおやつ、ソーセージ・ロール(sausage roll)に使われます。ラフ・パフ及びフレイキー・ペイストリーはパフ・ペイストリーほど膨らみませんが、作るのが簡単でありながら、フレーク状の軽い食感を持つのが特徴です。パフ・ペイストリーやフレイキー・ペイストリーは17世紀頃には(おそらく富裕層の間で)普及していたそうです。

フィロ・ペイストリーはギリシャ、東欧、中東の料理に使われる、紙のように薄い生地です。イギリスでは、他のペイストリーほど一般的ではありませんが、料理番組などを見ていると、たまに出てきます。生地を透けるほど薄く延ばすのが大変なので、さすがの料理人も市販のものを購入することを勧めています。

シュー・ペイストリーは日本人にもお馴染みのシュークリームやエクレアに使われるシュー生地のこと。ペイストリーとは小麦粉と油脂分、水分を混ぜ合わせたペースト状のものを指すので、シュー生地もペイストリーの一種として分類されています。イギリス人もシュークリームやエクレアが大好きなようで、スーパーのデザート・コーナーへ行くと必ず見かけます。

このように、英国では一口に「パイ」や「パイ生地」と言っても、色々な種類があります。イギリス人は料理に余り関心がないと言われますが、こと「パイ生地」に関しては、料理やお菓子に合わせて色々な種類の生地が考案・導入されてきたようです。英国に来て、「パイ」と呼ばれるものを食べたら、それがペイストリーを使ったものなのかどうか、使っている場合はどの種類のペイストリーなのかを当ててみるのも面白いと思います。
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# 英国生活日記(32)フィッシュ・パイ
こんにちは、Yです。2015年最初の投稿は、昨年末に引き続き、パイの話題です。前回はひき肉を使ったコテージ・パイをご紹介しましたが、今回はそれとは一味違う、フィッシュ・パイをご紹介します。イギリス人は余り魚介類を食べないのですが、白身魚のタラは大好き。フィッシュ・アンド・チップスに使われる魚もタラです。スーパーに行くと、わざわざコッド(cod)とハドック(haddock)という2種類のタラが売られているくらいです。フィッシュ・パイは、イギリス人に愛されているタラを使ったオーブン料理です。

フィッシュ・パイはコテージ・パイとよく似ているのですが、魚と野菜に絡めるソースがグレービーではなく、ホワイトソース(こちらではベシャメル・ソース[béchamel sauce]と呼ぶ)になります。なので、グラタンを作りなれた方であれは簡単に応用ができるはずです。作り方は以下の通り。

作り方
1.マッシュポテト用のじゃが芋を茹でる。
2.その間にみじん切りにした野菜(玉ねぎ、人参などお好みの野菜)をバターで炒める。野菜に火が通ったら、塩・胡椒で軽く調味し、小麦粉を混ぜ込む。牛乳を加えて、とろみをつけたら、一口大に切った魚(タラの他、塩鮭などでも)を加えてさっと火を通す。
3.1のじゃが芋をつぶし、バターや牛乳(又は生クリーム)を混ぜ込んでなめらかなマッシュポテトにする。塩・胡椒を適宜加えて調味する。
4.オーブン用の容器に2を流し込み、その上に3のマッシュポテトを広げる。フォークで表面全体に線を引く。表面に小さく切ったバターを散らす。高温のオーブンで表面に焦げ目がつくまで焼く。

材料は容器の大きさに合わせて調整してください。参考までに、我が家にある23センチ角の容器を使用する場合、ホワイトソースはバター50グラム、小麦粉大匙4、牛乳400mlで作っています。また、マッシュポテトは多めに作って、上記4で広げる時に2センチ以上の層ができるようにすると、焼いている間に下のソースが表面に飛び出してくることがありません。

基本的には、ホワイトソース+具+マッシュポテトが揃えばいいので、ホワイトソースを具と別に作るなど、お好みの方法で準備していただければ結構です。イギリスでは、生タラ以外にも、サーモンやスモークしたタラを組み合わせたりしますが、日本で料理するなら、塩鮭などもよく合うと思います。また、大き目に切ったゆで卵をたっぷり加えるのも人気です。

この冬、いつものグラタンに飽きたら、イギリスの家庭料理であるフィッシュ・パイに挑戦してみてください。

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# 英国生活日記(31)寒い日の夜に…熱々コテージ・パイ
こんにちは、Yです。12月に入りましたね。今日は、寒い冬の夜にお勧めの、熱々コテージ・パイ(cottage pie)をご紹介します。コテージ・パイはイギリスの代表的なオーブン料理なのですが、フランス風のグラタンと比べると、日本では余り良く知られていません。しかし、じゃが芋をたっぷり使うコテージ・パイはグラタンよりも野菜がたくさん摂れて健康的だと思いますし、日本でも普及する余地があるのでは、と個人的には考えています。作り方も簡単なので、この冬是非トライして下さい!

作り方
1.マッシュポテト用のじゃが芋を茹でる。
2.その間にひき肉とみじん切りにした野菜(玉ねぎ、人参などお好みの野菜)を炒める。肉と野菜に火が通ったら、塩・胡椒で軽く調味し、グレービーソースを具がひたひたになるくらいまで加える。
3.1のじゃが芋をつぶし、バターや牛乳(又は生クリーム)を混ぜ込んでなめらかなマッシュポテトにする。塩・胡椒を適宜加えて調味する。
4.オーブン用の容器に2を流し込み、その上に3のマッシュポテトを広げる。フォークで表面全体に線を引く。表面に小さく切ったバターを散らす。高温のオーブンで表面に焦げ目がつくまで焼く。

材料は容器の大きさに合わせて調整してください。マッシュポテトは多めに作って、上記4で広げる時に2センチ以上の層ができるようにすると、焼いている間に下のソースが表面に飛び出してくることがありません。

日本で作る時の問題は、グレービーソースが簡単に手に入らないので、それを何で代用するかだと思います。グレービーソースは基本的には肉汁を調味してとろみをつけたものです。なので、日本で作る場合は、ビーフコンソメにとろみをつけたものが一番近い味になるかと思います。その場合の作り方としては、
A)上記2で水とビーフコンソメを足し、水溶き片栗粉でとろみをつける。
又は
B)上記2で炒めたひき肉と野菜に小麦粉を混ぜ込み(炒めた時の油分が少なかった場合はこの時点でバターや油を足す)、水とビーフコンソメを足して、とろみをつける。
A)とB)いずれの場合でも、しっかりととろみをつけることが重要です。

グレービーソース又はビーフコンソメだけでは味が物足りないという場合は、上記2で具を炒める時に、にんにくやハーブ、ウスターソース、鷹の爪などを加えるのがお勧めです。また、グレービーソースの代わりにトマトの水煮缶(カットタイプ)を加えて、ミートソース風のコテージ・パイにしても美味しいです。

この料理、作り方が簡単なので、一度覚えるとレシピを見ずに繰り返し作ることができるのが良いところです。クックパッドにも色々なバリエーションが掲載されていましたので、この冬、是非試してみて下さい。
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# 英国生活日記(30)白いコーヒー
こんにちは、Yです。段々秋が深まって、温かい飲み物が美味しくなる季節になってきましたね。温かい飲み物と言うと、お茶かコーヒーが一般的ですが、イギリスにいると、「白いコーヒー(white coffee)」なるものによく遭遇します。コーヒーと言えば褐色なのに、「白い」とは何事か。気になりますよね?

白いコーヒーが何かは、イギリス人に紅茶の飲み方をイメージすると想像がしやすくなります。イギリスでは、「お茶(tea)」と言うと、ミルクティーを指します。日本の喫茶店のように、「レモンかミルクかストレートか」といった選択肢はありません。何も言わなければ、ミルク入りのものが出されるか、濃いめのストレート・ティーを渡されて、自分でミルクを注ぐように促されます。しかも、「ミルク」は日本でよく出される乳性か植物性のクリームではなく、牛乳です。ホテルのお茶セットに含まれるミルクも常温保存可能な牛乳のポーションになっています。このように、イギリス人は「お茶」と言えば「牛乳入りの紅茶」を飲むのが一般的です。

「白いコーヒー」というのは、イギリス人のお茶の飲み方をコーヒーに適用したものです(歴史的にはコーヒーの方が先に普及したので、元々はコーヒーの飲み方だったのかもしれませんが)。つまり、「白いコーヒー」とは、ブラック・コーヒーに牛乳を足したものを表します。コーヒーに牛乳を混ぜたものなら、カフェラテやカプチーノがあるじゃないか、と思いますよね。実際、白いコーヒーを販売しているほとんどの店では、カフェラテやカプチーノも販売しているのです。想像するに、元々ブラック・コーヒーか白いコーヒーしかなかったところに、近年になってカフェラテやカプチーノが仲間入りしたので、元々あった白いコーヒーもメニューに残っているという事情があるのではないかと思います。

この白いコーヒー、何も知らない外国人にとって厄介なのは、マクドナルドなどのファストフード店に行って「コーヒーを下さい」と言うと、「ブラックですか。ホワイトですか」と聞かれることです。そこで白いコーヒーが何たるかを知らないと、一体何と答えたらいいのか分からなくなってしまうのです(もちろん、分からなければ「それは何ですか」と聞けばいいのですが、私はホワイトが何を指すのか分からないままにブラックを注文してしまいました…)。

他方で、白いコーヒーが普及しているお陰でお得な点もあります。それは、ミルク入りのコーヒーが飲みたい時に、カフェラテやカプチーノよりも安い値段で購入できることです。例えば、マクドナルドでは、店舗にもよるようですが、ブラック・コーヒーと白いコーヒーの値段は同じです。また、スターバックスでは、ナプキンなどが置いてあるカウンターに牛乳のジャグも置いてあるので、ブラック・コーヒーに牛乳を注いでいる人をたまに見かけます。ミルク入りのコーヒーが飲みたいけれども、自分でミルクの量を調整したい、ふわふわの泡がなくてもよいという場合に、温かい飲み物にミルクを入れるというイギリスの習慣がありがたく感じられます。

この白いコーヒー、アメリカでは聞いたことがありませんから、きっとイギリス独特のものなのだと思います(もしかしたら英連邦の国では普及しているのかもしれません)。皆さんがイギリスにお越しの際は、私のように白いコーヒーの謎に惑わされることなく、スマートにコーヒーを注文してくださいね。

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# 英国生活日記(29)自宅で手軽にスムージー
こんにちは、Y です。イギリス中部では、8月下旬頃から最高気温が20度未満になり、私自身はすっかり秋の装いに衣替えしています。でも、日本ではまだ残暑が厳しいとのことですので、今回は日本の皆さんにも読んで爽やかな気分になって頂けるような、スムージーのお話をお届けしたいと思います。

スムージーと言えば、日本でもすっかりお馴染みになりましたね。駅やショッピング・モールのジュース・スタンドで購入したり、ミキサーのある方は自宅で手作りしたり。レシピ本もたくさん出版されています。

イギリスでは、日本以上にスムージーが手軽に手に入ります。スーパーのジュース・コーナーへ行くと、ボトルやパック入りのスムージーがずらり。一番良くみかけるのは、イノセント(Innocent)という、1999年にケンブリッジ大学の卒業生が設立したメーカーのものです。以下に、同社が販売しているスムージーの種類を一部列挙してみます。
• マンゴー&パッション・フルーツ
• ストロベリー&バナナ
• アップル、キウイ&ライム
• ざくろ、ブルーベリー&アサイー
それぞれ750ml入りで3ポンド(約510円)で、2パックで5ポンド(約851円)で売り出しているスーパーもあります。その他、携帯用の250ml入りのボトルや、子どものお弁当用のパックも販売されています。

更に、イノセントの好調ぶりにつられてなのか、大手スーパーも独自のプライベート・ブランド(PB)商品を開発しています。例えば、このブログでは毎度お馴染みのセインズベリーでは、以下のようなPB商品を販売しています。
• オレンジ、マンゴー&パッションフルーツ
• パイナップル、バナナ&ココナッツ
• ラズベリー&ざくろ
こちらは1L入りで2ポンド(約340円)で販売されています。

スムージーを自宅で手作りするとなると、準備や後片付けに少し手間がかかるので、つい二の足を踏んでしまいますが、これなら他のジュースと同じように、家庭で手軽に楽しめます。普通のジュースよりはちょっと割高ですが、後片付けが面倒で、毎日手作りするほどの意欲がない人(私を含めて)には重宝な商品です。

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# 英国生活日記(28)ケンブリッジへの日帰り旅行
こんにちは、Yです。今年の6月下旬のことになるのですが、ケンブリッジへ日帰り旅行をしてきました。今回は、その時の写真を少しご紹介しようと思います。

ケンブリッジはロンドンの北100キロ弱のところにある、言わずと知れた大学の町です。ケンブリッジと言えば有名らしいのが、パンティング(punting)。パンティングとは、パント(punt)と呼ばれる平底小舟を漕ぐことを指します。
〈写真1〉〈写真1〉は船着き場の写真。手前に並んでいるのがパントで、後ろ姿の男性が持っている長い棒で漕ぎます。この長い棒で川底を突きながら船を進めます。

写真の奥、川の向こう岸には馬や牛の姿が見えます。イギリスの田舎では馬や牛を見るのは珍しいことではないのですが(都会には騎馬警察がいる)、さすがに街中の公園のようなところでこれだけの数の動物を見るのは珍しいので、ちょっと驚きました。

〈写真2〉〈写真2〉はパントの上からの様子。ケンブリッジ大学のキャンパスの間には、ケンブリッジという地名の由来ともなったカム川(River Cam)が流れており、パントはその上を進んでいきます。パントを漕ぐガイドさんは、両岸に見えるキャンパスとその間をつなぐ橋の説明をしてくれます。私が訪れたのは丁度大学が夏休みに入った後だったので、パントもキャンパス内もかなり閑散としていましたが、学期中には岸の向こうに学生の姿がたくさん見えるのだろうと思います。また、夏の間は観光客が増えるので、この細い川がパントで一杯になるということでした。

〈写真3〉〈写真3〉はパントから見えたキングス・カレッジ(King’s College)の様子。1441年にイングランド王ヘンリー6世が創設したので、このような名前が付けられています。左側の高い建物がチャペル(礼拝堂)で、こちらは年中一般公開しています。また、チャペルを含めたカレッジのガイドツアーも開催されているので、興味のある方は事前予約をお勧めします。

パンティングを終えた後は、街中を散歩しながら大学の建物を見て回りました。〈写真4〉〈写真4〉は、コーパス・クリスティ・カレッジの様子。ケンブリッジ大学で学ぶ学生は元々頭が良いのでしょうが、こんなところで勉強していたら、たとえ頭が良くなくても、頭がいい気分になるだろうなあと思いました。

街中には、大学の町らしく、コンサートや演劇など、色々な催しのチラシが掲示されていました。大学には博物館も複数あり、それも一般公開されています。生活費が高いこと、年中観光客が絶えないことが玉に傷ですが、何年か住んでみるのにはとても面白い町だと思いました。

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# 英国生活日記(27)湖水地方への小旅行
こんにちは、Yです。今月初め、湖水地方(Lake District)に出かけてきました。湖水地方には大小様々な湖があるのですが、今回はウィンダミア(Windermere)を訪れました。ウィンダミアはイングランド最大の湖で、湖水地方の湖の中でも一番南の方に位置しています。

〔写真1〕ウィンダミア北端にあるアンバーサイド(Ambleside)の船着き場にて。ここで手漕ぎのボートを借りました(二人乗り1時間で13ポンド=約2260円)。ボートはここに限らず、色々な場所で借りられます。アンバーサイドはウィンダミア周辺で一番大きな町であるボウネス・オン・ウィンダミア(Bowness-on-Windermere)の北側にある小さな町です。ボウネスのようにお店や観光客向けのアトラクションがたくさんあるわけではないのですが、静かで景色も良い点が私は気に入りました。

〔写真2〕田舎道カーナビに従って運転していたら、車が一台やっと通れるような田舎道に迷い込んでしまいました。途中で羊(?)の家族の散歩に遭遇するなど、なかなか面白い体験だったのですが、「反対方向から車が来たらどうしよう」と、ひやひやドキドキ、スリル満点のドライブになってしまいました。湖水地方をドライブするときは、地図上になるべく太く記載されている道路を通ることをお勧めします。

〔写真3〕ジョン・ラスキン邸細い田舎道を通って辿り着いたのは、19世紀の美術評論家・社会思想家であるジョン・ラスキン(John Ruskin)の邸宅。こちらはウィンダミアの西側あるコニストン・ウォーター(Coniston Water)の湖畔にあります。邸宅とそれを取り囲む250エーカーの敷地を散策することができ、雨の中でもなかなか楽しめました。ちなみに、ウィンダミア周辺には『ピーター・ラビット』の著者であるビアトリクス・ポター(Beatrix Potter)や詩人ワーズワース(William Wordsworth)の自宅があり、こちらも一般公開されています。

皆さんも機会がありましたら是非イギリスの田舎、自然、文化、歴史そしてウォーター・スポーツを体験しに湖水地方を訪れてみて下さい。

続き▽
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# 英国生活日記(26) トイレはtoilet、パンツはpants
こんにちは、Y です。今回はイギリス英語についてのお話です。私はイギリスに移り住むまで、アメリカ英語しか使って来なかったので、こちらに来てからイギリス英語について色々と覚えるようになりました。その中で面白いなと思ったのは、イギリス英語と日本の外来語の共通点です。日本語にはカタカナで表される外来語が多く、それは英語のようでいて、実はアメリカでは通じないというものが結構あります。でも、イギリスでは通じるものもあるのだということを、私はこちらに来てから学習しました。いくつか例をご紹介します。

• 「トイレ」は toilet:アメリカ英語で toilet は便器を指し、便器のある部屋を bathroom と呼ぶのが一般的です。でも、イギリスでは日本と同じように、便器も便器のある部屋も toilet と呼びます。上流階級のイギリス人は loo と言いますが、飲食店や鉄道の駅などの表記は toilet で共通しています。Toilet は元々フランス語の toilette が英語化したものです。日本人も「便所」と言うのを止めて、「トイレ」という外来語を好むようになりました。「便所」と言うよりも「トイレ」と言った方がイメージが緩和されるので、後者が広まったのだと思いますが、イギリスでも同じようなことがあったのかなということが想像されて、面白いです。


• 「パンツ」は pants:アメリカではズボンを pants と呼ぶのが一般的で、日本でも最近ではズボンではなく、パンツという呼び方が普及するようになってきました(私はまだ慣れませんが)。しかし、イギリス英語で pants は underpants の略で、下着のパンツを指します。これは、従来の日本人の「パンツ」の使い方と全く同じです。そんなわけで、パンツはイギリスでは「あれはひどい(That's pants)」という表現にも使われます。


• 「リュックサック」は rucksack:アメリカでは backpack と言うのが一般的ですが、イギリスでは日本と同じように rucksack と呼びます。リュックはドイツ語の方言 rucken から派生した言葉で、英語では back、日本語では背中を意味します。Rucksack も backpack も「背中に背負うバッグ」という意味なのですが、イギリスではドイツ語的な表現が定着しました。


アメリカ英語が染みついた私は、イギリス英語への切り替えに若干葛藤があるのですが(関東人が関西弁に切り替えるような感覚でしょうか)、皆さんは是非、アメリカではアメリカ英語、イギリスではイギリス英語にスマートに切り替えて下さいね。上記のような例はまだまだあるので、機会があればまたご紹介したいと思います。

続き▽
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# 英国生活日記(25) 住宅事情
こんにちは、Y です。昨年英国に移り住んでから、最も驚いたことの一つは、住宅事情の違いでした。日本では若く一人暮らしの内は賃貸物件に住み、結婚して家族が増えるとマイホームを建てたり、新築のマンションを購入し、自分の好みのデザインに仕立てるというパターンが一般的です。賃貸物件に住んでいる間は自分の希望に合わない条件があっても妥協するけれども、マイホームを購入するからには真新しく、自分の好みの間取りの家を選びたいというのが多くの日本人の希望だと思います。

それに対して、イギリス人の住まいに関する感覚は日本人のものとは大分異なります。以下に、その主な違いをまとめてみました。

・ 英国では古い住宅を修復・増改築しながら利用し続けるのが一般的で、新築の物件に移り住む人の数は限られている(少し古い統計では、住宅取引に占める中古住宅の割合は英国では89%、日本では13%でした[http://www.vintagehouse.co.jp/20years/])。
・ 「古い住宅=安い住宅」ではない。新築よりも、古い年代物の住宅の方が人気がある。立地と年式が重要。
・ 住宅の改装に際してはDIYの精神がかなり浸透している。少なくとも部屋の壁のペンキ塗りくらいは自分でやるべき。
・ 将来売却することを念頭に、敢えて改装の余地のある物件を購入する人も多い。そのため、「こんな物件を売りに出していいのか」と驚くような廃墟が販売されていたりする。
・ 賃貸は「家賃をどぶに捨てるようなもの」だと敬遠される一方、住宅購入は「賢い投資」だと考えられている。目標は、できるだけ早く賃貸から抜け出して物件を購入し、収入の増加や住宅価格の値上がりに応じて新しい物件に移り住んでいくこと。

以上のような違いは、賃貸か新築のマイホームしか頭になかった私にとっては衝撃でした。皆さんはどのような印象を持ちましたか。私はここ数カ月の間にテレビの住宅関連番組を見て勉強した末に、漸く最近、「古い家を買って自分の好みに作り上げて行くのも面白いかもしれない」と思えるようになってきました。

続き▽
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