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# 翻訳コンニャク
 こんにちは、Serenaです。
 久しぶりにゲスト投稿のお声をかけていただきました。今日は、日々の勉強の中で感じたことをお話したいと思います。

 翻訳の仕事を続けるには、自分の得意分野を増やしていく努力も必要ですよね。そんなわけで最近、自分が以前から興味を持っている「現代アート」や「ポップカルチャー」に関する文章を、何の言語で書かれているかに関わらずなるべく幅広く読むように心がけています。(…といってももちろん、何語でもOKというわけはありません。日本語以外ではドイツ語か英語かイタリア語で読むわけです。)また、ちょうど良いタイミングで「日本のデザインや創造力を世界がどうみているか」を一貫してテーマに据えた翻訳講座を見つけたので、それにも参加しています。
 先日読んだ数冊の本には、日本で生まれたマンガや、「ポケモン」「遊戯王」といったゲームは、いまや欧米の若者の間でも大人気だ、という内容のことが書かれていました。でも、そもそも日本にいながらこれまでほとんどアニメやマンガに触れたことがない私にとっては未知の世界。遊戯王?ポケモン??何がそんなに面白いのだろう???と頭の中がクエスチョンマークだらけになってしまいました。1950年代から1960年代にかけて制作された日本の「ゴジラ」や「マッハGoGoGo」といったアニメ作品はアメリカにも紹介され、すでに当時人気を得ていたそうです。ただしその人気が一過性のブームに過ぎなかったのに比べると、今日の日本のポップカルチャー、特にアニメやマンガ、ゲームは、はるかに深く欧米に浸透しているということです。アメリカでは2002年に「少年ジャンプ」が発刊されたのですが、その体裁は日本のマンガと同じく「右とじ」で、ページ内のコマも右上から左下に向かって読み進める形になっています。効果音なども日本のマンガに書かれている「音」をできるだけそのまま伝えるように工夫しているのだそうです。つまり、もともと英語にはなかったオノマトペを造語したりしているらしいのです。
 そういえば10年以上前、友人とイタリアに行ったとき、列車内で前の席にすわっていたイタリア人の若いお兄ちゃんが、友人の取り出した「ドラえもん」のマンガに気づき、目をらんらんと輝かせて何やらまくしたて、自分のリュックから日本のマンガのイタリア語版を取り出して見せてくれたことがありました。思えばずいぶん前から日本のマンガやアニメは海外に進出していたのですね。試しにYouTubeで日本のアニメを検索してみたら、イタリア語で「アルプスの少女ハイジ」や「キャンディキャンディ」といった懐かしのアニメが見られました。(ついでに付け加えると、「モーニング娘。」や「AKB48」の動画に対するコメント欄では、世界中のファンが英語、フランス語、スペイン語、ドイツ語などさまざまな言語で交流し、盛り上がっているようです。)
 今日の欧米の若者たちは幼いうちから日本のアニメやゲームといったファンタジー商品に親しみ、それらが創り出す空想の世界に浸り、想像力を育まれてきたわけです。ですから彼らは、日本のポップカルチャーが自分たちの国のそれとは異質だとはっきり意識した上で「だからこそ興味を持つ」とか「違いを見つけて面白がる」といったような、ある意味で知的なアプローチをしているわけではないのです。すでにそんなレベルは超え、違いがあることは当然の前提として受容していて、格別に異質だとか異文化だとか意識することなしにマンガやアニメやゲームが繰り広げる架空の世界に入り込み、楽しんでいます。それにしても、日本で制作されるアニメやゲームの、いったい何がそんなに世界の子供たちの心をつかんでいるのでしょうか?
 同じ日本語を話す日本人同士でも、私のようにカードゲームのルールや遊び方とかが「さっぱりわからない、お手上げ!」状態の人間にとっては、ゲーム好きの若者に何を言われてもチンプンカンプンです。たとえ出身の国や話す言語が違っても「小さい時にポケモンにはまったよなー」「ハイジが大好きだったの」などと「想像世界のふるさと」を共有できる者同士の方が、よっぽど分かりあえるでしょうね。もしかしてイタリア人と日本人の会話で「‘どこでもドア’欲しいよなー」「まったくだよ」なんていうたとえが、説明抜きでサラッと通じたりする日も近い、いや、すでに若者世代では通じているのでしょうか?
 以上、まとめると「翻訳の仕事をしているとしばしば未知の世界のことを調べなければならず、大変な労力がいるけれど、自分の関心がいろいろな方向に広がるのが楽しくもある」というお話でした。(楽しい、とでも思わないと、たとえ興味があっても日々の勉強の努力をなかなか続けられないというのもあります……。この記事のタイトルにした「翻訳コンニャク」っていうのが、ドラえもん道具にはあるらしいですね。食べるとどんな言語でも理解できてしゃべれるようになるとか。欲しいけれど、出回ると困りますね。仕事が無くなる!)

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