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# 最高級ピアノメーカーは新規参入だった
こんにちは、Wadaです。

1980年、ローマのエンジニアでありピアニストでもあるPaolo Fazioli氏は、世界最高級のピアノを作る製造会社を設立しました。高級ピアノ市場は長いあいだ米国のスタインウェイ・ブランドで占められていたため、Fazioli氏の決断は馬鹿げてるとみなされました。それまでピアノ業界への新規参入で成功したのは日本のヤマハのような安価なピアノのメーカーだけだったので、スタインウェイより高級なピアノを作れるとは誰も想像しなかったのです。しかし現在では多くのピアニストが、その2200万円もの超高級ピアノでの演奏を望むようになりました("Piano nobile", The Economist, 5月7日付)。

Fazioli氏は「音楽の森」といわれるヴァル・ディ・フィエンメ近くに工房を建てました。響きの良い音を生むトウヒの木が茂り、ここから採られる木によって、ストラディバリによる最高級のヴァイオリンも作られました。Fazioli氏はエンジニアとしての技能を生かし、他のどれよりも優れた音を生むグランドピアノの製作をここで始めたのです。今では彼の工房は、フル稼働で年に160台から170台のピアノを製造しますが(スタインウェイは2000台から2500台)、オーダーメイドのためピアノが届くまで4ヶ月から8ヶ月も待たなければならないといいます。

ニューヨークのジュリアード音楽院はスタインウェイ社製のピアノの保有台数が世界一なのですが、そこでピアノ技術を担当するStephen Carver氏によれば、スタインウェイはFazioliに比べて「質がさまざまで、わずかに演奏が難しい」と言います。

稀少な楽器のメーカーにとって重要なのは、買い手の数やその予算ではなく、誰が買い手になるかだとFazioli氏は言います。「プロのピアニストによる関心が我が社の躍進を示す」のです。ピアニストのAlessio Baxはスタインウェイを好みますが、「著名なピアニストでFazioliを拒む人はいない」と言い、バッハの演奏で知られるAngela Hewittは、できる限りFazioliのピアノで演奏すると言います。「他のピアノの音色は美しいけど面白みに欠ける。Fazioliほど音の変化がないから」だそうです。

Fazioli氏は最近、品質を認めてもらうための新たな方策を考えたようで、特別に開発されたソフトウェアを用いて、グレン・グールドなど今は亡きピアニストがFazoliniのピアノで弾いた場合の演奏を再現しているのです。

本当に音が違うのか、ぜひ聴いてみたい気がします。
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