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# 米国の銃犯罪は緩い規制の所産?
こんにちは、Wadaです。

米国では銃による犯罪が跡を絶たないようです。銃による死者数は年間3万人を超え、他の先進諸国に比べ突出しています。しかしよく指摘されるように、銃犯罪の多さは銃規制の強化につながっていないのです。ハーバード・ビジネススクールの調査によると、共和党が過半数を占める州では銃による殺人が起こると、銃規制を(強めるのではなく)緩和する処置が75%増加するといいます。しかし最近では、緩い銃規制が銃犯罪を増やすとの調査結果が増えているのです(The Economist、6月18日付)。

銃の所持は銃犯罪を抑止するのか、それとも促進するのかとの問いは、銃犯罪に関するデータが二義的に評価されるために研究者を悩ませてきました。銃所持の賛成派は、所持率の高い田舎では銃犯罪の割合が低いと言い、またここ20年で米国における銃の総数が急速に増加した一方、銃の犯罪率は下がっていると指摘します。しかし他方で、銃の総数は増加しても、銃を所持する世帯数は下がっているのです。シカゴ大学のMark Duggan氏による2000年の調査によれば、銃による殺人の割合が、銃を所持する世帯数の低下と共に減少したといいます。しかも殺人の割合の減少は世帯数減少に少し遅れて生じたようで、そうするとそれは銃所持の世帯数減少が銃犯罪減少の原因であったことを示唆しており、銃犯罪の減少は犯罪率全体の低下の副産物ではないということになります。

さらに2014年の研究は、武器の携帯を許容する法律が、小火器による犯罪発生率を増やすことを示唆しました。そして130もの研究が、厳格な銃所持規制の法律は小火器による死者数を減少させていると結論づけています。

銃の所持と銃犯罪との関連が証明されてこなかったひとつの理由として、銃所持に賛成するロビイストが研究への公的資金を減らそうと働きかけていたことが挙げられます。しかし主な理由は、研究者が他の条件を一定にしつつ、銃規制と銃犯罪率との関係を取り出すのが難しいためです。例えば多くの先進諸国ではここ数十年で犯罪発生率自体が下がっており、犯罪率減少が銃規制によるものなのかどうかの分析が難しくなっているのです。

もっとも、因果関係を示す例も存在します。豪州で半自動装填式銃により32人が死亡した1996年の事件の直後、豪州政府は半自動装填式銃とポンプ速射式銃の所持を禁止し、すでに出回っている銃を所有者から買い上げました。その結果、規制前までは小火器による死亡率が米国の4分の1であったのに対し、規制後には10分の1にまで減少したのです。

米国での世論調査は、銃所持規制の厳格化への支持が広がっていることを示しており、ほぼ半数の共和党員が「攻撃型」の銃への規制に賛成しているといいます。しかし、熱心な少数派が立法を妨害できる政治制度によって、規制派の意志が挫かれてしまうのです。改革が進まないという政治問題を解決しない限り、銃規制への取組みは難しいようです。
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