2013-05-31 : 23:53 : admin
# 各国の公用語の話
こんにちは。また久しぶりの登場となります、nyabu です。今日は各国の公用語についてお話ししたいと思います。
公用語とは各国や国際組織において公式なものとして使われている言語のことです。国際連合の場合、英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、アラビア語が用いられ、これらは国連総会決議として定められています。欧州連合では、加盟国各国の公用語のほとんどが、欧州連合の公用語とされており、欧州連合の規則として定められています。
では、各国の公用語はどうなっているでしょうか。言語は国のかたちに大きな影響を与えるものですから、憲法で決められているのでしょうか。
『世界の憲法集 [第四版]』(有信堂、2009年)をひもといてみますと、多くの国の憲法の中に公用語に関する規定があります。例えば、フランス共和国憲法の場合、第1章「主権」の第2条第1項に「共和国の言語はフランス語である。」と記述されています。スペイン憲法の場合は、第3条第1項にて「カスティリア語は、スペイン国の公用語である。すべてのスペイン人は、これに精通する義務を負い、且つこれを使用する権利を有する。」とされています。そのほか、世界の憲法集に掲載されている憲法の中では、インド憲法、オーストリア連邦憲法、カナダ憲法、フィリピン共和国憲法、ブラジル連邦共和国憲法、ポーランド共和国憲法、ロシア連邦共和国憲法に、公用語の規定がありました。ベルギー国憲法にも言語の記載がありましたが、こちらは公用語云々以前に国のかたち自体が、「言語圏」に基づいて規定されているため、極めて慎重な記述となっており、第30条「ベルギー国内で用いられている言語の使用は任意である。[略]」と記載されています。
近代憲法の代表であるアメリカ合衆国憲法の場合はどうでしょうか。合衆国憲法のどこを見ても、英語を公用語とするとの記述はありません。
実は、アメリカでは連邦レベルでの公用語の規定はなく、州レベルで公用語が規定されている場合があるという状況にあるのです。その州についてもすべての州が公用語を規定しているわけではなく31州にとどまっています。そのため、英語を公用語にせよとの運動があり、昨年2012年の大統領選挙に際して、共和党候補のロムニー氏の主張の中にも「英語を公用語にする」というものがありました。これは英語以外の言語を日常的に使う層が増えてきたこととも関係しているのかもしれません。英語を公用語にすると主張しつつも、ロムニー陣営はスペイン語層を無視するわけにもいかず、スペイン語のマニフェストも作成したそうですが。
ところでお膝元の日本の場合はどうでしょう。
日本国憲法を読んでみますと、公用語は日本語であるという記述はありません。実は個別の法律もなく、裁判は日本語で行うという規定があるだけなのだそうです。とはいえ、学校で「国語」として学ぶのは日本語ですし、行政文書も日本語で作成されていますから、実質的に日本語が公用語である事には違いありません。アメリカの場合と同様に、日本の場合も圧倒的に日本語話者が多いため、わざわざ公用語を規定する必要はなかったのでしょう。現在でも日本語話者が圧倒的に多いわけですが、地域によっては外国語話者、それも英語以外の外国語話者が多い地域もあるようで、そういった地域の行政活動においては英語以外への対応も積極的に行われているようです。
さも当然のように日本語は日本の公用語と思いがちですが、存外その根拠は実状に依存しているわけです。
公用語とは各国や国際組織において公式なものとして使われている言語のことです。国際連合の場合、英語、フランス語、ロシア語、中国語、スペイン語、アラビア語が用いられ、これらは国連総会決議として定められています。欧州連合では、加盟国各国の公用語のほとんどが、欧州連合の公用語とされており、欧州連合の規則として定められています。
では、各国の公用語はどうなっているでしょうか。言語は国のかたちに大きな影響を与えるものですから、憲法で決められているのでしょうか。
『世界の憲法集 [第四版]』(有信堂、2009年)をひもといてみますと、多くの国の憲法の中に公用語に関する規定があります。例えば、フランス共和国憲法の場合、第1章「主権」の第2条第1項に「共和国の言語はフランス語である。」と記述されています。スペイン憲法の場合は、第3条第1項にて「カスティリア語は、スペイン国の公用語である。すべてのスペイン人は、これに精通する義務を負い、且つこれを使用する権利を有する。」とされています。そのほか、世界の憲法集に掲載されている憲法の中では、インド憲法、オーストリア連邦憲法、カナダ憲法、フィリピン共和国憲法、ブラジル連邦共和国憲法、ポーランド共和国憲法、ロシア連邦共和国憲法に、公用語の規定がありました。ベルギー国憲法にも言語の記載がありましたが、こちらは公用語云々以前に国のかたち自体が、「言語圏」に基づいて規定されているため、極めて慎重な記述となっており、第30条「ベルギー国内で用いられている言語の使用は任意である。[略]」と記載されています。
近代憲法の代表であるアメリカ合衆国憲法の場合はどうでしょうか。合衆国憲法のどこを見ても、英語を公用語とするとの記述はありません。
実は、アメリカでは連邦レベルでの公用語の規定はなく、州レベルで公用語が規定されている場合があるという状況にあるのです。その州についてもすべての州が公用語を規定しているわけではなく31州にとどまっています。そのため、英語を公用語にせよとの運動があり、昨年2012年の大統領選挙に際して、共和党候補のロムニー氏の主張の中にも「英語を公用語にする」というものがありました。これは英語以外の言語を日常的に使う層が増えてきたこととも関係しているのかもしれません。英語を公用語にすると主張しつつも、ロムニー陣営はスペイン語層を無視するわけにもいかず、スペイン語のマニフェストも作成したそうですが。
ところでお膝元の日本の場合はどうでしょう。
日本国憲法を読んでみますと、公用語は日本語であるという記述はありません。実は個別の法律もなく、裁判は日本語で行うという規定があるだけなのだそうです。とはいえ、学校で「国語」として学ぶのは日本語ですし、行政文書も日本語で作成されていますから、実質的に日本語が公用語である事には違いありません。アメリカの場合と同様に、日本の場合も圧倒的に日本語話者が多いため、わざわざ公用語を規定する必要はなかったのでしょう。現在でも日本語話者が圧倒的に多いわけですが、地域によっては外国語話者、それも英語以外の外国語話者が多い地域もあるようで、そういった地域の行政活動においては英語以外への対応も積極的に行われているようです。
さも当然のように日本語は日本の公用語と思いがちですが、存外その根拠は実状に依存しているわけです。
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