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# 参加する映画
こんにちは、蓮です。

梅雨が明けたと思ったら、あっという間に8月ですね。

今年上半期、日本の映画界で話題をさらった作品といえば、『アナと雪の女王』であることに、異論のある人はいないでしょう。先日、早くもDVD/Blu-rayが発売になりましたが、一方で上映中の劇場が都内だけで今も25館。1日1回上映の館も多いとはいえ、公開が3月だったわけですから、近年稀に見る異例のロングランです。

この“アナ雪”、GWにはSing Alongつまり「一緒に歌おう」企画として、主題歌であり劇中歌である「Let It Go」が流れる際に歌詞の字幕がスクリーンに表示され、観客が一緒に歌えるという試みが約90館(全国)の映画館で行われたそうです。子供から大人までが立ち上がって、振りまで付けての大合唱が起こった所もあれば、「歌う人が殆どいない」「歌ったら隣の人に静かにしろと怒られた」というように、失敗に終わった所もあるようです。

そもそもこのSing Along、アメリカの映画館で行われて好評だったものを、謂わば輸入する形で日本でもやってみたということなのですが、上映中に声を出すことも憚られる日本ではあまり馴染みのあるスタイルではないだけに、行うなら周到な準備が必要だったのではないでしょうか。(なお、アメリカでも、映画館で上映中に一緒に歌うスタイルが一般的というわけではありません。誤解なきよう。)

例えば、ミュージカル映画の盛んなインドでは、上映中に一緒に歌ったり、手拍子をしたりするのはよくある光景だと聞きます。それを踏まえてか、日本でも2〜3年前から、インド映画上映の際に「マサラシステム」と称して、歌っても踊ってもOK!の回を設ける劇場が出てきました。つまり、アナ雪以前にもそうした試みがあったということですが、比較的コアファンの多いインド映画に比べ、アナ雪は観客の母数の桁が違いますから、浸透させるのも一体感を生み出すのもその分、難しくなる筈です。

私自身は基本的に映画は集中して静かに見たい派で、「上映中に私語をしたり携帯を光らせるような人間は、家でDVDでも見ててくれ!」と思っていますが、このように通常回とは別に、歌もダンスもウェルカムのイベント的な回が設定されるのは、とても楽しくて良い企画だと思います。近年、コンサートやスポーツのライブ・ビューイングが一般化したこともあって、会場が一体となって盛り上がるような楽しみ方を映画に求める人達が増えても不思議はないですし、実際、そういう鑑賞の仕方が似合う作品というのもあるものです。

日本でこうした参加型映画の草分け的存在となったのが、おそらく70年代のイギリス映画『ロッキー・ホラー・ショー』でしょう。これも、アナ雪同様、アメリカで行われていた観客参加型のスタイルが日本にも持ち込まれた形ですが、違うのは、配給会社や映画館の発信ではなく、ニューヨークの観客達が自発的に、映画に合わせて踊ったり掛け声をかけたり、コスプレをしたりといったパフォーマンスを始めたという点です。(一説には、映画があまりにつまらなかったため、観客が自分達で楽しみを作り出したとも言われますが、真偽のほどは はてさて。)

実は、私はこの作品のパフォーマンス付き上映に、運営側として携わっていたことがあります。当時、日本にもLIP’Sという『ロッキー・ホラー・ショー』のファンクラブが存在していることを知ったのですが、言ってみれば“玄人”のファンである彼らの先導があるのと無いのとでは、観客(特に初体験のお客さん)の入り易さが全然違うように思いました。今後も、Sing Alongやマサラシステムのような企画は行われていくでしょうが、「歌詞の字幕を付ける」というような物理的側面だけでなく、事前の周知徹底やいかに盛り上がりをリードしていくかといった運営の仕方こそが、成否を分けることになると思います。

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参加型、楽しそうです! これからは視聴する側もどんどん当事者になっていって、それがエンターテイメントの在り方として普通になってゆくのかもしれませんね Toko
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