2010-04-25 : 13:11 : admin
こんにちは、Serenaです。
今日はドイツ語を例にとって、
翻訳の際 に私が考えることを書き綴ってみます。
ドイツ語に限らず、原文を解きほぐす作業をしながらいつも悩むのは
「いかにして原文の雰囲気を保ったままで分りやすい日本語に訳すか」
ということです。ドイツ語の文章と日本語の文章の大きな違いは、
ドイツ語では一つの文章が長いということでしょう。
あるドイツ語の一文を頭から逐語訳してみます。
「 ドイツ国内にはおよそ1300のビール醸造工場があり、
そこでは4つの原材料−水、モルツ、酵母、ホップから
5000種類以上のビールを製造していることを考えるとき、
人はこう信じるはずだ、
それら全部はきわめて同じような味がするに違いないと。 」
(原文)
Wenn man bedenkt, das es in Deutschland ca. 1300 Brauereien gibt, die mit den vier Inhaltsstoffen Wasser, Malz, Hefe und Hopfen etwa 5000 verschiedene Biere herstellen, sollte man doch glauben, das alle so ziemlich gleich schmecken mussten.
―ドイツ語では一文ですが、頭から読み下せば
言わんとしている内容はすんなり頭に入ります。
しかし、読み下しをそのまま日本語にしたら回りくどく、
良い文章とは言えません。
原文が言わんとしている内容を自然な日本語で表すとしたら、
次のようになるでしょう。
「 ドイツ国内にはおよそ1300のビール醸造工場があり、
合わせて5000種類以上のビールが製造されている。
だが全てのビールが水、モルツ、酵母、ホップという
共通する4つの原材料から作られることを考えれば、
全部きわめて同じような味がするはずだと誰しも考えるだろう。 」
論旨の展開の順序どおりにカンマで区切られた節が積み重ねられていく、
というドイツ語の文章の作りは、
ドイツ語の思考体系をそのまま具現化しているとも言えます。
ということは、これを日本語にするときに句点で区切ったりして
「わかりやすく」してしまうことは、
極端に言えば原文が内包する思考体系にまで手を加えてしまうことに
なるのではないか。
より優れた翻訳とは、それを読む者に原文固有の思考体系まで含めて
伝達するものであるべきでは?…いつも頭をよぎる悩みです。
原文はたった一つなのに、翻訳文は翻訳者の数だけあります。
「 これは是非あの人に訳してほしい 」 と指名してもらえるような
翻訳者になるべく、精進していきたいと思います。
ブログに書く文章を考えることは私にとって日本語の練習でもあります。
どうぞこれからも時々お付き合いください。
今日はドイツ語を例にとって、
翻訳の際 に私が考えることを書き綴ってみます。
ドイツ語に限らず、原文を解きほぐす作業をしながらいつも悩むのは
「いかにして原文の雰囲気を保ったままで分りやすい日本語に訳すか」
ということです。ドイツ語の文章と日本語の文章の大きな違いは、
ドイツ語では一つの文章が長いということでしょう。
あるドイツ語の一文を頭から逐語訳してみます。
「 ドイツ国内にはおよそ1300のビール醸造工場があり、
そこでは4つの原材料−水、モルツ、酵母、ホップから
5000種類以上のビールを製造していることを考えるとき、
人はこう信じるはずだ、
それら全部はきわめて同じような味がするに違いないと。 」
(原文)
Wenn man bedenkt, das es in Deutschland ca. 1300 Brauereien gibt, die mit den vier Inhaltsstoffen Wasser, Malz, Hefe und Hopfen etwa 5000 verschiedene Biere herstellen, sollte man doch glauben, das alle so ziemlich gleich schmecken mussten.
―ドイツ語では一文ですが、頭から読み下せば
言わんとしている内容はすんなり頭に入ります。
しかし、読み下しをそのまま日本語にしたら回りくどく、
良い文章とは言えません。
原文が言わんとしている内容を自然な日本語で表すとしたら、
次のようになるでしょう。
「 ドイツ国内にはおよそ1300のビール醸造工場があり、
合わせて5000種類以上のビールが製造されている。
だが全てのビールが水、モルツ、酵母、ホップという
共通する4つの原材料から作られることを考えれば、
全部きわめて同じような味がするはずだと誰しも考えるだろう。 」
論旨の展開の順序どおりにカンマで区切られた節が積み重ねられていく、
というドイツ語の文章の作りは、
ドイツ語の思考体系をそのまま具現化しているとも言えます。
ということは、これを日本語にするときに句点で区切ったりして
「わかりやすく」してしまうことは、
極端に言えば原文が内包する思考体系にまで手を加えてしまうことに
なるのではないか。
より優れた翻訳とは、それを読む者に原文固有の思考体系まで含めて
伝達するものであるべきでは?…いつも頭をよぎる悩みです。
原文はたった一つなのに、翻訳文は翻訳者の数だけあります。
「 これは是非あの人に訳してほしい 」 と指名してもらえるような
翻訳者になるべく、精進していきたいと思います。
ブログに書く文章を考えることは私にとって日本語の練習でもあります。
どうぞこれからも時々お付き合いください。
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