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# 『蘭学事始(らんがくことはじめ)』が読みたい(4)
コウです。

先々週は予想外の記述に出くわし、びっくりしてそのまま筆を置いてしまいました。その記述とは、校訳注者である緒方氏の付した注記の部分にありました。それによれば、杉田氏の書きようにはどうやら一部、誇張が入っているらしい。

たとえばその注記によれば、長崎のオランダ通訳官がオランダ語をカタカナで書きとめていただけで、暗記して通訳していたというのは「事実ではない」。また、幕府への願い出が許されてオランダ語を学び始めたというのも「真実ではない」。

わたしにそのあたりの正否を判断する能力はありませんが、とにかく当時の苦労が少しばかり大げさに語られていたのかもしません。ただ、読み物としてはそれでよくても、歴史としてはちょっと困る。難しいところです。

もちろん、そのあとに杉田氏が、一般人がみだりに横文字を取り扱うのははばかられていた、と繰り返し書いているところからすると、ご禁制とはいかないまでも、やはりオランダ語そのものへのアクセスは著しく制限されていたというのは事実だったのでしょう。彼らによるオランダ語翻訳の苦労は、ここから始まっていくのです。

そんなこんなで彼らはまず、今で言う辞書のようなものをオランダ人から借り受け、書き写し始めたのでした。もちろん、オランダ語で書かれた辞書ですし、そこに書かれている文字列の「意味」などわかりません(そんなものがわかるぐらいなら、この話は成立しません)。意味不明の文字列を、ただ書き写し続ける作業。想像しただけで嫌になりますね。(続く)

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