2010-11-15 : 13:22 : admin
コウです。一回お休みして、前々回の続き。日本でも蘭学に対する関心が高まり、医療関係者の間でもその重要性が徐々に理解されるようになってきたところからです。ついに『解体新書』の原著である、『ターヘル・アナトミア』を手に入れる時がやってきました。
入手したのは、本草学(今で言う薬学でしょうか)者の中川淳庵でした。杉田氏とともに一読したところ、意味が全く分かりません。しかし、そこに描かれた図の子細なところから、おそらく実際の見聞に拠って書かれたものであろうということを推測しています。加えてそれは、当時中国から伝わっていた説とは大いに異なっていたという点でも、大変興味をそそられるものでもあったのです。
そのような折、千住骨ヶ原という刑場で腑分け(人体解剖)が行なわれるという情報が入ってきます。それで是非、腑分けを見学して『ターヘル・アナトミア』の真偽を確かめてみようということになりました。この腑分けには前野氏も呼ばれています。彼は長崎留学の際に手に入れた、中川氏のものと同版の『ターヘル・アナトミア』を持参しており、その偶然を喜んだということです。
実際に腑分けを目にした結果明らかになったのは、『ターヘル・アナトミア』に描かれた図の驚くべき正確さでした。また、刑場に四散していた人骨についても照合してみたところ、それもまた正確なものであったということです。こうして明らかになった人体図が、これまでの知識とは大きく異なっていたことに、一同驚くとともに、医療に携わるものとして正確な知識を有していなかったことに恥入ったと、当時の心情が描写されています。
そして刑場からの帰り道、杉田氏、中川氏、前野氏はそろって、『ターヘル・アナトミア』の翻訳を決意します。苦難の始まりです。(続く)
入手したのは、本草学(今で言う薬学でしょうか)者の中川淳庵でした。杉田氏とともに一読したところ、意味が全く分かりません。しかし、そこに描かれた図の子細なところから、おそらく実際の見聞に拠って書かれたものであろうということを推測しています。加えてそれは、当時中国から伝わっていた説とは大いに異なっていたという点でも、大変興味をそそられるものでもあったのです。
そのような折、千住骨ヶ原という刑場で腑分け(人体解剖)が行なわれるという情報が入ってきます。それで是非、腑分けを見学して『ターヘル・アナトミア』の真偽を確かめてみようということになりました。この腑分けには前野氏も呼ばれています。彼は長崎留学の際に手に入れた、中川氏のものと同版の『ターヘル・アナトミア』を持参しており、その偶然を喜んだということです。
実際に腑分けを目にした結果明らかになったのは、『ターヘル・アナトミア』に描かれた図の驚くべき正確さでした。また、刑場に四散していた人骨についても照合してみたところ、それもまた正確なものであったということです。こうして明らかになった人体図が、これまでの知識とは大きく異なっていたことに、一同驚くとともに、医療に携わるものとして正確な知識を有していなかったことに恥入ったと、当時の心情が描写されています。
そして刑場からの帰り道、杉田氏、中川氏、前野氏はそろって、『ターヘル・アナトミア』の翻訳を決意します。苦難の始まりです。(続く)
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